好きの代わりにサヨナラを《完》
「何かお探しですか?」

かなり深刻な顔で商品を見ていたんだろうか。

営業スマイル全開の店員さんに声をかけられてしまった。

「いや、あの……」

ラッピングとか頼んでるのか、美憂はまだ他の店員さんと話している。

「プレゼント用ですか?」

そう言って店員さんは、あたしの視線の先にあったであろう商品をいくつか持ってきて、あたしの前に並べ始めた。

どうしよう……

美憂に恋愛禁止って言ったのに、自分も蒼用のプレゼントを買うのは気まずい。

困ってしまって目の前に置かれた商品を黙って見ていたら、店員さんが鍵を出してショーケースを開き始めた。



「他にもご覧になりますか?」

「いえ、これでいいです……」

あたしは最初に見ていたシンプルなキーホルダーを手に取った。
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