好きの代わりにサヨナラを《完》
「美憂、待って!」

廊下をスタスタ歩いていく美憂を追いかける。

振り返ってくれない彼女の背中に、あたしは声をかけ続ける。

「美憂、どうして……今まですごい頑張ってきたじゃん。
あたしたち美憂がいないと駄目なんだよ」

あたしは小走りで美憂を追いかけ、彼女の隣に並んだ。

「いつかあたしたちだけで単独ライブやりたいって言ってたじゃん。もうすぐ夢が叶うんだよ。一緒にステージに立とうよ」

美憂は、あたしを見てくれない。

うつむいたまま早足で廊下を歩き続ける。



「彼と別れたら、みんな許してくれるって言ってたよ。
彼と別れて戻ってきてよ」

あたしの言葉に、美憂は足を止める。

「どうして……どうして誰もわかってくれないの?」

彼女の声は、微かに震えていた。
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