好きの代わりにサヨナラを《完》
廊下に一人で立ち尽くしているあたしのポケットの中で、スマホが振動する。

あたしはスマホを取り出して、画面を確認する。

着信画面に表示された彼の名前を見て、あたしは動揺してしまった。



こんな時に何の用事だろう……

あたしは後ろを振り返って誰もいないことを確認してから、通話ボタンを押した。



「もしもし、蒼……」 

あたしは口元を片手でおおって、小声で話し始めた。

「ほのか、久しぶり……今日キーホルダー届いた」

そう言えば、今日は蒼の誕生日だ。

それどころじゃなくて、すっかり忘れていた。
< 81 / 204 >

この作品をシェア

pagetop