好きの代わりにサヨナラを《完》
結局、美憂がファンの前で直接謝罪することはなかった。
体調不良ということで、美憂は握手会を欠席した。

握手会が全て終了して控え室に戻った頃には、もう美憂の姿はなかった。



そして、例の週刊誌が発売される。

男性のマンションから二人が出てくるところが掲載されていた。
相手は、美憂の元ファンの一般男性だった。

現役アイドルの朝帰り、その衝撃は大きかった。

童顔で可愛い顔をした美憂は、文字通り清純派アイドルそのものだった。

ファンの期待を裏切った彼女に向けられた怒りは、見ていて恐ろしくなるほどだった。

これが美憂じゃなくて、もともと清純派ぽくない年上のメンバーだったらこんなに騒がれなかったのかもしれない。

真っ白だったはずのあたしたちのイメージは、すっかり汚れてしまった。
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