好きの代わりにサヨナラを《完》

スキャンダル

snow mistの三枚目のシングルは、初めて音楽チャート一位を獲得した。

喜ぶべきことなのに、事務所の空気はピリピリしていた。



順調に育ってきたグループが勢いに乗ってきた時に出てしまった美憂のスキャンダル。

まるであたしたちが有名になるのを待っていたかのようなタイミングだった。

あたしたちのグループが成功するのを邪魔しようとしている人がいる。

そんなふうにさえ思えてしまった。



美憂の卒業が決まってから初めてのレッスン。

いつも笑顔で誰にでも優しくて、あたしの唯一の味方だった美憂。

彼女がいないスタジオは、今までと違うものに見えてしまう。



今までは美憂の隣にいたけれど、これからは誰の隣に座ろうか。

あたしはスタジオのメンバーを見回した。
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