ソラは今日も喧嘩中
ひとしきり買い物を済ませると、カフェに寄った。

すると咲子が、

「あのね、桜の好きな人、お兄ちゃんなんだ。」

いつもの笑顔のままそう言った。

「桜の?あー、うん。なんか、わかってた。

てか、それ言っちゃっていいの?」

そう聞くと、

「んー、私も本人の口から聞いたことは一度もないよ。

でも、わかんないわけないじゃん。

桜、人の恋には色々いうけど、自分の事になると鈍いからねぇ。」

そう言って、新作のピンク色のラテを一口。

「それからね、私も。」

しばらく、沈黙。

「....そりゃ、兄弟だから、だよね?」

咲子は、目線を落とした。

「それだけなら、良かったんだけどね。」

そう言って、切なそうに笑う。

「絶対に叶えられない恋ってあるんだよ。

私は桜とお兄ちゃんの事応援してるし、二人の幸せを誰よりも願ってる。

でもね、私のこの思いは、伝えることさえ許されないの。

こにちゃんの恋は?」

私は、言葉が出てこなかった。

そのまま目の前のカップをとって、ぐいっと飲み干した。

それから、咲子も少し残ったラテを飲み干して、伝票をサッと持ってしまった。

私の分を数えて渡そうと財布をひらくと、

「口止め料。」

そう言って、咲子が全て払ってくれた。
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