ソラは今日も喧嘩中
ある日の放課後のこと。

「「大空!」」

二人分の声がしたはずなのに、駆け寄ってきたのはマネージャーの日野だった。

いま、こにちゃんっぽい声がしたような....

「日野、今誰かいた?」

「ん?あたしだけだよ?」

そうか、気のせいか。

軽く顔を傾げて、それから荷物を日野に持ってもらった。

「悪いな。」

「いいよ、マネの仕事だし。」

日野は、よく働くいいマネージャーだ。

うちの部は厳しいから、経験者しかマネージャーもとらない。

そうでなければ、部員目当ての女子がわらわら入ってきかねないのも理由の一つだ。

日野に関してはそんな心配が一切なく、みんなから信頼を得ていた。

そんな日野が、

「マネじゃなくても、大空の為なら働くけどね。」

小さな声で、俯きがちにそう言った。

それから、こちらを向いて、

「なーんてね、大空は大切な仲間だよ。だから、とっとと治しなさいっ!」

そう言って、バシンと背中を叩かれた。

「いってぇ!!」

そう言って背中をさすりながら横目でチラリと日野を見ると、

ほんの一瞬だけ、寂しそうな顔をしたように見えた。
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