ソラは今日も喧嘩中
全員の自己紹介が終わり、次はクラス委員を決める時間だ。

「よーし、やりたい奴手ェ挙げろー。」

荒っぽい字で役名を書きながら、だるそうに呼びかけた。

しーん。

ですよねぇー。

「んじゃあ、推薦でもいいぞー。」

こう言われて、推薦できる人などいない。

手を挙げないということはやりたくないということだし、推薦したら推薦し返されるのだ。

そして、まだたいして仲も良くないのに推薦なんてして何が起こるか...同中が大空しかいない私は息を潜めていた。

しばらくの沈黙、さらに手を挙げづらい状況になってきた。

すると、後ろからつんつん、と、シャーペンの裏でつつかれた。

小声で

「なによ。」

と答えると、

「やっぱり安藤桜綺麗だよなぁ。」

...また鼻の下伸びてるけど。

「そうだね!だからなによ!」

今言うか。確かに女の私から見ても見とれるレベルだけどさ。

「あっれ、こにちゃんヤキモチかな?」

「そんなんじゃないし!」

思わず声が大きくなってしまった。

気づいて口を手で塞いでみるも、時既に遅し、だ。

へなへなと萎れた声で、すみません、と言った。

「図星かよ。」

と後ろから声がかかるが、もう突っかかる元気はなかった。

「おー、小西元気だな。お前やれ、ついでに西園寺、お前もだ。そらコンビで仲良くなー。」

「...はい。」

...って、ええ!?

私そういうのやったことないし!

背中をぽんと叩かれ、叩いた手は大空だった。

「しゃーねーな、やるか!」

そう言って教卓の前に二人で並んだ。
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