ソラは今日も喧嘩中
大空の背中、安心するなぁ。

細身の見た目とは裏腹に、広くてごつごつした背中。

男の子なんだなぁ、と思った。

「ふふふ。」

「なんだよ、気持ちわりぃ。」

「いやぁ?でも、さすがに私二人は無理だったでしょ。」

そう言って持て余していた腕を軽く大空の首に回した。

「そうだな、ちょっと予想以上だったからな....」

「ちょ、なにそれ、ひどい!」

急にまた恥ずかしくなってジタバタする。

「ちょ、騒ぐな馬鹿!」

抵抗も虚しく、大空の背中にしっかりとしがみついている私。

しゅん。

「ねぇ大空?」

「ん?」

ひたすら前を見て歩きながら返事をする。

「なんで朝怒ってたの?」

「....なんでもねぇよ。」

「絶対嘘だ。なに、その間。」

「.....。」

大空は、黙秘権を行使してきた。

そうなると、私に手はない。でも、もし何か怒らせるようなことをしてしまっていたのなら。

それなら、いまこうして優しくされるのがとてつもなく申し訳ない。

「...よくわかってないんだけど、私のせい?だよね?ごめんなさい。」

理由もわからず謝られたら、さらに嫌だったかもしれない。

しかし、そうしないと私が落ち着かなかった。

所詮自己満足だ。

そこに気づいてしまったから、さらに気持ちが落ちていった。
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