ソラは今日も喧嘩中
ぼー。すとん。

勧められたソファに座り、しばらく思考停止していた。

「びっくりしたわぁ、桜、咲子ちゃん以外の友達連れてくるの初めてじゃない?」

ルンルンしながらお菓子とジュースを出してくれた加藤春花...ではなく、桜ママは、やはりやっぱりあの加藤春花だ。

「パパとママ目当てて友達になられたりするのが嫌なの。だから、咲子しか基本知らないのよ。」

「パパもママも桜の両親として学校行事行ったことないのよお。」

しょぼんとしながら話す桜ママが、少しかわいそうな気もしたが、桜の話もなんだかすごく共感できた。

「今日パパさんいないのぉ?」

咲子は桜ママの作ったクッキーをもぐもぐしながら、昨日の夕飯なんだった?くらいののりで質問する。

「あー、今日はレコーディングでね。明日帰ってこれるかなー?分かんないわ。」

「そっかぁ。」

レコーディングとか、サラッと聞こえたような。

凄いな、いつもこんな非日常的な単語が飛び出すのか。

「...だから芸能界に入りたいの?」

やっと出た一声は、核心をついていたらしい。

「そうよ。でも、これからも両親のことは隠していきたい。私が私として評価されるまでは。」

隣にいる桜ママは複雑な心境だろう。

「でもね、両親のこと、心から尊敬しているし、大好きよ。でないと、同じ職業なんて選ばないわ。」

そうか、そうだよなぁ。

益々自分がちいさく感じた。
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