ソラは今日も喧嘩中
それから、大空はいつも通りだった。

むしろ、挙動不審なのは私の方。

「こにちゃん、プリント回して。」

「あ、うん、ごごごごめん。」

後ろを向かずに手だけ後ろに回した。

そして、手を離すと、


バサバサバサ!


大空の机まで届いていると思っていたプリントは、的を外して床に落ちてしまった。

「あ、ごめん!」

後ろを振り返ってすぐさま床に落ちたプリントを拾い上げる。

大空は、何やってんだよ、と言いながら、一緒に拾ってくれた。

そして、最後の一枚を拾おうとすると、

大空の手がほんの少し、触れた。



バサバサバサ!



動揺して、せっかく拾ったプリントをまた落としてしまった。

前を向くと、大空が近い。

にやりと笑ったかと思うと、

「意識してんの?」

と、意地悪げに言ってきた。

私はすぐに目を逸らして、落としたプリントを拾い上げ、大空の机にバンっと置いた。

自分の鼓動が速いことがわかる。

きっと顔も赤いだろう。

「そらコンビ、終わったかー?」

先生にそう聞かれて、

「ほーい。」

と余裕そうに答える大空。

私はずっと下を向いていた。
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