午後5時17分の彼女~boy's side~
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「え、年下なの?」
水川さんは目を丸くした。
「はい。1年C組です」
「そうだったのね。だから見たことなかったんだ」
水川さんは少し僕の前を歩いていた。
「水川さん」
「ん?」
水川さんは振りかえって、僕を見た。
今、水川さんの瞳に僕が映っている。
こんなにも幸せなことはあるのだろうか。
「年下じゃ嫌ですか……?」
水川さんは僕のほうを見たまま、黙った。
沈黙がつづく。
「年齢なんて関係ある?」
僕を真っ直ぐ見て、水川さんは言った。
「私は"大江奏多"って人間を好きになったんだよ」
水川さんはそう言って笑った。
僕の胸は高鳴った。
水川さんは口調がきついのではなく、正直なだけなんだ。
その笑顔を見れる回数を少しずつ増やしていけたら。
僕はもうすでに、水川さんに依存していることに僕は改めて気づかされたんだ。
END