♡放課後みすてりあすいーつ!♡
下の紙には『玲瓏学園高等部三年、津山 陽太』と書かれてる。
そっか、この展覧会は絵画だけじゃないんだね。
「陽太くんも締切ギリギリまで頑張ってたんですよ~、僕は充分だと思うんですけど、凝り性みたいで」
へー。ちょっとキツそうだったけど、結構部活に真剣なんだ。
「ところで、谷先輩の絵はどこにあるんですか?」
「ん?僕は出してませんよ?」
「え、美術部なのに?」
谷先輩は後頭部をかきながら笑った。
「僕は美術部の皆さんみたいに絵が上手くないし……練習しても全然上達しないんです。いわゆる下手の横好きってやつですね。今回も入賞出来ませんでした」
「……」
返す言葉が見つからない。
そうなんだ……
仮に言うほど下手じゃなかったとしても、越水部長の絵と比べちゃうと低レベル扱いされちゃうか。
相談部一行は黙り込んでしまった。
先輩は悪くしてしまった場の空気を戻そうと話題を変えた。
「あ、えっと、金平糖いります?」
さっき飲食禁止の看板見えたけど……まぁいいか。
私達は可愛い袋に入った金平糖を三粒ずつ貰った。
「……あれ、先輩それ袋破れてません?鞄の中大丈夫ですか?」
「え?わ、ほんとだ!でも大丈夫です。たくさん持ってますし、皆さんの分はちゃんとありますよ!」
「いや、そういう問題じゃなく……」
と、パタパタと向こう側から典美が走ってきた。