♡放課後みすてりあすいーつ!♡

自分の左側で聞こえる音をBGMに、時音は器用にピョンピョンと消波ブロックを渡り、人を探していた。

「姉ちゃ~ん、姉ちゃん、どこ~?」

祭の時は時音の方が迷子だったのに、どういう訳だか今度は立場がまるっきり逆だ。

今日は親戚の誕生日で、祖母や母や叔母達がとびきり豪華な料理を作って待っていると言うのに、一人だけいつの間にかいなくなってた。

その為、手が空いていた時音が捜索&お迎え係となった訳だ。

「姉ちゃんってば~、姉ちゃんやーい」

よく近所の友達と遊ぶのに使ってる秘密基地、知り合いのおじさんが作ってくれたツリーハウス、石切りするのに使ってる川……

ビーチサンダルの底がすり減るくらい走り回って探しているのに、目当ての彼女は見つからない。

「おっかしーなー……姉ちゃんの奴、どこいったんだろ?あんなにかくれんぼ上手だったっけ?」

月明かりが眩しくて懐中電灯要らずなのが不幸中の幸いだ。お陰で両腕を振って思いっ切り走って探せる。

「ん?」

海沿いにある古い倉庫が見えた。

誰も使ってなくて近々撤去される予定だと聞いたが、どういう訳だか煌々と小さく明かりがついている。

あそこかな。姉ちゃんめ、かくれんぼに良い場所知ってるじゃん!

時音はくふふっと笑みを抑えながら、忍び足で倉庫へ近寄った。
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