♡放課後みすてりあすいーつ!♡

揺れないようにするためか、シャンデリアじゃなく天井に取り付けるタイプの照明なのがちょっと惜しいけど、ほぼ豪邸にいるくらい優雅な空間だ。

「理系学部にとんでもねーお嬢様がいるとは聞いてたが……お前だったんだな。まぁ、こんな席ならエコノミー症候群になる心配も無ぇな」

「ん?えこのみーしょーこーぐんって何?環境にええの?」

「……」

綺鳴、あんた多分エコロジーか何かと勘違いしてるよ。

お嬢様はエコノミークラスの存在すら知らないらしい。

鳩が豆鉄砲喰らったようなアホ面してる石内先生をほっといて、あたしは真ん中辺りの可愛いハートのクッションが置いてある席を選んで座った。

ハートのクッションの隣には、星型のクッションが置かれてる。

微かにレモンの良い香りがした。

……時音が好きそう。

ボフンとハートのクッションに顔を埋め、寂しい気持ちを紛らわせた。

ここにいたらきっと、当然のようにあたしの隣に座って、

「ミィ、この星のクッション、サシェが入ってるみたい!すっごいいい匂いする!」

とか言うんだろうな。

なんて考えてたら。

「失礼致しますね」

「しっつれぇしゃーすっ!」
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