♡放課後みすてりあすいーつ!♡

「タイムはね、記憶が一ヶ月しか持たないの」

三人の息を呑む音が聞こえた。

「毎日会ったりやったりしてれば、一部の記憶は継続されるけど、夏休み明けにクラスメイトと会ったりすると、全部忘れてる」

ゲームをどんなに進めても、リセットボタンを押せば全てデータが消える。

時音の記憶は、一ヶ月経ったら押されるリセットボタンがあるみたいなシステムになっている。

「だから、昔の事も覚えてない。忘れちゃったっていうか、記憶から完全に消えてるから思い出せない。タイムの中で、無かった事に……ゼロになってる」

「じゃ、クニの記憶力は……」

「自分で鍛えたの。タイムが何を忘れても、隣にいるあたしがいつでもちゃんと教えられるようにね」

時音は一ヶ月しか記憶が持たないから、たくさんの人に迷惑かけたり、困らせたりしてた。

完全にゼロになってるんだから思い出す事も難しいのに、無理強いする大人もいた。

だから、あたしは時音を守る為に、支える為に記憶力を鍛えた。

「分かる?周りの人や今いる場所どころか、自分自身が誰なのかも分かんなくなっちゃうんだよ。自分がどんな名前で、今いる場所がどこで、何が好きで、誰とどんな関係だったのか……」

『来栖 時音』って人間のデータが全部、リセットされる……

どんな感じなのか想像もつかないけど、きっと怖くて仕方無いよ。
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