♡放課後みすてりあすいーつ!♡





「時音ちゃん、美色ちゃん、園芸部へようこそ!」

園芸部部室に入った途端、両手を広げて芙雨ちゃんは大げさに私達を歓迎してくれた。

「わぁ……すっごい!良い香りがするねー!」

美色が無邪気にはしゃぐ。

「ふふふっ、今ね、科学部と共同で香水を作ってるの。だから香りの良い花を中心に育ててるんだよ~」

「へぇ、楽しそうだね」

「すっごく楽しいよ!えへへ、花に興味を持ってくれる人が増えて嬉しいな。兼部でも全然良いから、ぜひ入部してね!」

目をキラキラさせて、ピュアな眼差しを向けてくる芙雨ちゃん。

ごめん、芙雨ちゃん、美色は花好きだけど、私はあまり興味無いんだ!あくまでもこれはただの調査なんだ!

芙雨ちゃんの純粋で汚れの無い言葉が、罪悪感に変わって心にグサグサと刺さる。



放課後、園芸部顧問の先生への伝言を石内先生に頼み、私達は園芸部部室へとやってきた。

ここは、あちこちに植木鉢やら種の入った瓶やら一輪挿しやらプランターやらが置いてあって、ジャングルみたい。

調査そっちのけで芙雨ちゃんの説明を聞く美色をほっといて、私はキョロキョロと燕くんの姿を探す。

あんな中性的な美人、そうそういないと思うから、すぐに見つかるはず……
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