♡放課後みすてりあすいーつ!♡

「あ、いた!」

ピンクの薔薇の花束を持った綺麗な男の子が、窓際の机の上で楽しそうに作業をしていた。

「ん?時音ちゃん、姫宮くんを知ってるの?」

芙雨ちゃんが不思議そうに私に聞いた。

「あ、いや、えっと、友達の弟なんだ」

「へぇ~、そうなんだ」

ちょっとだけ嘘をついた。綺鳴は『依頼者』であり、友達って程ではない。

「下野先輩ー!ちょっとー!」

部員が助けを求めるように手を振った。

「はぁい!今行くー!あ、ここからは自由に回ってていいよ!二人のことは部員皆に伝えたから。何かあったら私に言ってね」

そう言って、芙雨ちゃんは声をかけた部員の元へと走っていった。

やった、チャンスだ!これで観察と聞き込みが出来る!

「姫宮 燕くん!……だよね?」

「え、はい?」

駆け寄って声をかけると、写真で見たより綺麗な顔が、くるっとこちらを向く。

「あ、確か情報やコンビの……来栖さんですよね?芙雨先輩からお話は伺っております。何かの調査ですか?」

そう言ってふわりと微笑む燕くん。

漫画だったら周りに花が舞ってそうな、ぽわぽわした空気を醸し出してる。

なんだか女の子みたい。
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