♡放課後みすてりあすいーつ!♡
それにしても、さすが姫宮グループの跡取り予定の子。
言葉使いが丁寧で綺麗だ。
「う、ううん、今回は普通に見学だよ。いくら私達でも毎日調査してる訳じゃないし」
「そっか、それもそうですよね。失礼致しました。でも、何かあったらいつでも言ってくださいね。僕で良ければ協力しますから」
自分が調査のターゲットになってることなんて全く知らない燕くんは、善意100%の言葉を私にぶつけてきた。
うーん、芙雨ちゃんといい燕くんといい、園芸部の人達はなんだか優しすぎる人が多い気がする。
嘘をつきにくい……
また罪悪感の矢が、私の心にグサグサと刺さる。
痛い痛いっ。
でも、ここで逃げちゃダメだ。依頼はしっかりとやり遂げないと!
「ところで燕くん、何の作業してるの?見せてくれないかな?」
調査の方に話題が行かないよう、私は話題を燕くんの手元へと移す。
「あぁ、これは香水を作るために、花弁を外してるんです。花弁とエッセンシャルオイルを密封容器に入れて、暫くしたら濾紙で濾して作るんですよ」
「へぇ~」
説明しながら、燕くんは薔薇の花の花弁を外す作業を続ける。
優しい香りが私の鼻をくすぐった。