♡放課後みすてりあすいーつ!♡
彼はチッと舌打ちしたから名乗った。
「……文系学部二年二組、涼村 珀成(すずむら はくなり)」
「涼村くんね。話聞くからこっち座って」
相談を聞くスペースを作るため、美色と綺鳴が机を動かしてくれた。
「は〜、めんどくせ」
文句を言いつつ、涼村くんは用意された椅子に座り、私と向かい合う。
財布泥棒の件で相談しに来た生徒は、皆『お菓子なんかよりお金の方が大事でしょ!?そんなの良いから助けてよ!!』って感じで、誰もお菓子をくれようとしなかった。
私達にタダ働きしろって言うの?こっちだって色々大変なんだっつーの!
けど、今ここにいる涼村くんは、ハッキリとお菓子をくれるって言った。
だから、これが今回の正式な依頼として成立してる。
「じゃ、いくつか質問するよ」
前回である最初の依頼で、綺鳴を相手したのは美色だったから、二回目の依頼は私が担当した。
不良相手なんて正直嫌だけど、入部して日が浅い綺鳴にやらせるのも、こういう人を生理的に嫌がる美色に任せるのも不安だから、仕方ない。
「涼村くんはどうして依頼したの?財布取られちゃったから?」
「……そーだよ。二万くらい盗られた」
確かに二万は、高校生にしてはかなり大きい額。
これは不機嫌になるのも無理ないか。