貴方は過去の人
男女の友情は、あると思う。けれど、優也とはない気がする。
好きだったころは、何をするにしても彼のことばかりだった。出掛けることが決まれば、様々な洋服を出しては体にあてて、ああだのこうだのしていた。洋服が決まったら鞄。靴。大変だった。嫌なところは隠したくて、上手くない化粧もした。
ゲーセンでプリクラを撮ったことがある。
彼はモニターを見ていたせいで、撮ったあとの彼の視線は外れてしまっていた。あれから彼はちゃんとカメラを見るようになった。…そのプリクラを、私はどうしようかと封筒にいれたままでいる。いつか、細かくして捨てるだろう。
形として残っていれば、見るたびに思い出してしまうから。
「まあ、元気そうでよかったよ」
――――なにそれ。
意味もなく彼の言葉がひっかかって、痛む。元気そうで。私は元気そうに見えるのかと安心した。元気そうに見える意地があったことに驚いた。
馬鹿みたい。
馬鹿みたい。
「優也も」
「まあな。……あのさ」
「用事があるから、そろそろ行かないと」
優也のことは好きだった。
高校の時の私は、間違いなく。