陽の明かり
「今日はなにしてたの?」
私はベンチに腰掛けて聞くと、「秘密。」と答えた恵未優。
恵未優は実に不思議な子だった。
同じ学校で同じクラス、というのに恵未優は1回も学校に来ていない。
でも、全く恵未優のことを知らない。
もちろん、普通に会話はする。
お腹減った、とか今日の天気とか…。
でも、恵未優に関することは「秘密。」って言って隠すんだ。
ならば、好きなものは?好きなことは?って聞いたら「わかんない。」って。
だけど…いつも優しく、正しいことを言ってくれる。
だから私は恵未優が大好きだ。
可笑しいけど、恵未優を親友だとさえ思っている。
何も知らないのに、何でも言える恵未優が大切だから。
「今日は何時まで遊ぶ?」
「んーそうだなぁ、何時でもいいよ。」
恵未優の曖昧な返事はいつものこと。
門限が決まってないのかな、羨ましい。
「今日も私、6時までには帰るね。」
「そっか…、仕方ないよね。」
しょんぼりする恵未優に私は、少し嬉しくなった。
私と一緒にいられないことで寂しく思ってくれるからだ。
「明日は土曜日だし、6時までなら朝からでも遊べるよ。」
「そうだね、じゃあ明日は朝から遊ぼう。」
「うん!」
学校に過ごす時間より、断然、恵未優と一緒に入れて楽しいに違いない。