世界の中心でアイを叫んだのに【B L】
何なのかこの人は。
一人称が僕だから、一応は男…なんだろうけど。
髪が肩についていて、女みたいだ。
それに…浴衣と同じ、真っ白な髪。
俺が一歩近づくと、和服男は後ずさりする。
ついでに涙目だし。
これじゃ話も出来ないな…
「なぁ、アンタの名前は?」
「へ…?」
和服男は震えている。
それは寒いからなのか、それとも俺が怖いのか。
「ナ•マ•エ。」
「あ…その、施設の人…じゃ、ないんですか?」
は?
なんか質問で返された。
「アンタどっかの施設から逃げ出してきたの?
孤児院とか?
まぁいいや、とりあえず俺、『シセツのヒト』じゃないから。」
俺がそう言うと、和服男はあからさまにホッとした。
「僕は…っくしゅ」
「…寒いな。
家、入ってから聞くよ。」
「あ、はい…」
ガチャ
俺は家の鍵を開け、中に入る。
光があるところで見ると、浴衣はかなり汚れていた。
「コーヒーしか無いんだけど…飲める?」
「こー…?
あの、それってその…なんでしょうか?」
コーヒーを知らない?
…コーヒーを飲ませない孤児院だったのか?