Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
俺は自分の正体を明かさないまま、駆け出しのミュージシャンとしてここに来ていた。
いま彼女に素性をばらされたら騒ぎになって、もうコーギーに来れなくなるんじゃないかって焦った。
この店で、店長以外で唯一俺の正体を知る伊織さんが、慌てたように身を乗り出して、目の前の女子高生の名を呼んだときには驚いた。
この子、伊織さんの知り合いか?
状況が理解できないでいる俺に向かって、彼女はCD-ROMを渡した。
表紙には見覚えのある文字。
数日前、マッシーさんにアレンジをお願いしていた、俺の歌声の入ったデモテープだった。