Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
「ねぇ、雛」
学校で、相変わらず元気のない私に、亜理沙が話しかける。
「なに?」
「実は、雛のこと、好きって子がいるんだけど会わない?」
最近、亜理沙はよく、私を男の子に会わせようとする。
恋の傷は、次の恋で癒せ。
それが亜理沙の教訓らしい。
私は首を横に振る。
七倉さんには会えないけど、七倉さん以外の男の子に会いたいとは思わない。
なにより、今も怪我で芸能界に復帰できない七倉さんのことを思うと、私だけ楽しい学校生活を送るなんて、そんな気にはなれなかった。
「そっか……」
「その子、かっこいいのに」と残念そうな亜理沙に「ごめんね」と言おうとしたとき、
教室のドアが開いて、見覚えのない男の子が、こちらに向かってやって来た。
長いまつげと、大きな瞳。まるでハーフみたいに色素の薄い男の子。
彼は、私の前で立ち止まると、
「こんにちわ。真下さん」
にっこりと微笑んだ。