Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~



「ねぇ、雛」



学校で、相変わらず元気のない私に、亜理沙が話しかける。



「なに?」



「実は、雛のこと、好きって子がいるんだけど会わない?」



最近、亜理沙はよく、私を男の子に会わせようとする。



恋の傷は、次の恋で癒せ。



それが亜理沙の教訓らしい。



私は首を横に振る。



七倉さんには会えないけど、七倉さん以外の男の子に会いたいとは思わない。



なにより、今も怪我で芸能界に復帰できない七倉さんのことを思うと、私だけ楽しい学校生活を送るなんて、そんな気にはなれなかった。



「そっか……」



「その子、かっこいいのに」と残念そうな亜理沙に「ごめんね」と言おうとしたとき、



教室のドアが開いて、見覚えのない男の子が、こちらに向かってやって来た。



長いまつげと、大きな瞳。まるでハーフみたいに色素の薄い男の子。



彼は、私の前で立ち止まると、



「こんにちわ。真下さん」



にっこりと微笑んだ。




< 135 / 218 >

この作品をシェア

pagetop