Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
七倉さんは、観客席の一番下から私に向かって叫んだ。
「誰がなんて言おうと、雛子ちゃんが一番だった!!」
曇りのない、まっすぐな七倉さんの声は、すっと私の心に溶け込んで、
悲しみに濁った心を浄化する。
手の甲でごしごしと涙を拭いた私は、「うん」と七倉さんに向かって頷くと、コートの向こう側、ネットの前に立つ対戦相手に向かって歩いた。
手を伸ばして、握手を交わす。
すると彼女は、
「また真下さんと試合をするのを、楽しみにしてるよ」
暖かく、力強い声で、そう言った。
まだ胸にくすぶる悔しさを抱えて、控え室に戻ろうとしたとき、
「雛子ちゃん!」
観客席から腕を伸ばした七倉さんに、すっぽりと頭を抱き締められた。
「最高の試合を、ありがとう」