Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
ラバーズ15
例えば、苦しくて落ち込んでるとき、
あなたの声があれば、頑張ろうって勇気になる。
例えば、どうしようもなく寂しいとき、
あなたの暖かい手があれば、1人じゃないって救われる。
例えば、幸せを感じたとき、
あなたと2人なら、その幸せは何倍にもなって、世界はキラキラと輝くだろう。
「ほら、雛子。早く!」
表彰式が終わった私は、亜理沙に手を引かれて、コーギーに向かった。
「目、閉じて」
「え?なんで?」
亜理沙の言葉に、何が何だか分からない。
「いいから、早く!!」
亜理沙は後ろから私の両目を手で塞ぐと、そのままコーギーの中へと連れて行った。
真っ暗な視界の中、物音ひとつしない店内に立たされて、亜理沙に「まだよ」と言われた。
亜理沙が私から離れて、目を閉じたまま、不安な気持ちで親友の名前を呼ぶ。
「亜理沙、まだ?」
そんな私を、大きな暖かい手がギュッと握った。
この手は……
「雛子ちゃん、準優勝おめでとう」
目を開けた先にいたのは、大好きな七倉さんだった。