Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
「曲調を変更する気はない」
きっぱりと言い切る黒木さん。話は次のドームツアーへと移った。
もっと踊りたい。
もっと……喉がつぶれるくらいの激しいシャウトで歌いたい。
俺の中で募る思いが、今にも爆発してしまいそうでぐっと堪えた。
ミーティングを終えて部屋を出る俺に、梨央が声をかける。
「なに荒れてんの?」
「別に」
「別にって態度じゃないでしょ。黒木さんに反論するなんてハルらしくない」
俺らしくないって、なんだ?
何もかも分かった風なことを言う梨央にイラついて振り向くと。
「ほら怒ってる」
形のいい顎を少し上げ、厚みのあるセクシーな唇を横に広げた。
「今まで上手くやってきたんだから、上手に生きようよ」
梨央は俺の胸元のシャツを掴んで引き寄せた。前かがみの体勢になった俺の唇に、柔らかいものが触れる。ぴったりとくっついた俺の唇と梨央の唇に、慌てて梨央を引き離した。