Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
「今日はありがとうございました」
そう言った私に、七倉さんは、
「俺こそ、最高の一日をありがとう」
って、透き通った静かな声で言った。
居心地の悪い、沈黙が流れる。
「じゃあ」
そう言って、家の中に入ろうとした時、
「雛子ちゃん!」
七倉さんが、私の手を掴んで引き寄せた。
そして……
七倉さんの柔らかい温もりが、私の唇に触れた。
唇が放れると、
「愛してる」
大好きな、強い眼差しが近くにあって、
真っ赤になって唇を押さえた。
大きく動揺する私をみて、優しく目を細めた七倉さんは、
「高校生の間は、キス以上しないから安心して」
そう言いうと、私の頭をポンポンとなでた。
真っ赤な顔で立ち尽くす私の頬を、プニッて摘まんだ七倉さんは、
「またね」
そう言って、背を向けて歩き出す。
唇も、心も全部、七倉さんに奪われて、
立ち尽くすみたいに、大好きな七倉さんの後ろ姿を見送った。
―end―