Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
ラバーズ5
-side nanakura-




『小さなボールを追いかけていると、嫌なこととか、どうしようもないもどかしさとか、とにかく胸の中のもやもやが全部吹き飛ぶんです』



濁りのない澄んだ目で答えた、彼女の言葉が忘れられない。



ゆるぎない声。



ゆるぎない眼差し。



かつての俺が持っていたもの。



今の俺が忘れているもの。



彼女ががむしゃらにテニスをしている姿を見れば、思い出せるんじゃないかと思った。



Soul Loversとしてデビューしたての頃の、無我夢中に夢を追いかけていた頃の俺を。



鮮やかに色づいて、眩しいほどに純粋だった頃の自分を。





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