Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
雛子ちゃんと出会ってから、もう1ヶ月が過ぎた。
彼女からの連絡は来ない。
最初はスマホが鳴る度に、彼女からかと期待していたけれど、今はもう、期待もしなくなった。
俺をただのナンパな男とでも思っているのだろうか?
「警戒、されたかな?」
もうちょっと上手く、近づけばよかったのだろうか。
「変質者だもんな」
彼女に噛まれた痛みを思い出す。
親指を眺めながら、自嘲気味に笑った。
最近では、もうすぐ始まる5大ドームツアーのリハーサルが忙しくて、彼女のことを思う時間も少なくなった。
このまま彼女のガラスみたいに透き通った眼差しも、真っ直ぐな言葉も、忘れてゆくのかもしれない。
過ぎ行く時のままに。