Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
くっきりと縁取られた梨央の目が、大きく見開く。
「酷いのね」
ぽろりと梨央の目から涙が落ちる。
立ち尽くす梨央の横をすり抜けて、走った。
彼女がいる場所へと。
何も考えずに電車に飛び乗って、後悔した。
ざわめく乗客。明らかに、俺が誰かと気づいてる。
いつもコーギーに行くときには、帽子を深く被って顔を隠していたけど、今の俺は、素顔をさらけ出している。
一旦、途中の駅で降りて、マスクでも買おうか?
そう考えたけど、そんなことをしていたら、試合に間に合いそうも無い。
落ち着かない気持ちのまま、電車は目的の駅へと到着した。