兄さん、壊して
「どう、調子は良くなった?」
目を開けると、運命の王子様もとい兄さんがいた。
「……ん?」
「発作を起こして、倒れたんだ。少し安静にしてれば治るよ」
兄さんは私の頭を撫でてくる。
そうか。段々状況が読めてきた。
いつもの発作が出て、倒れた所を兄さんが保健室に運んでくれた。
「ありがとうございます」
「うん」
兄さんはとても優しい。
蜂蜜みたいに甘ーい笑顔で私を見てくれるんだもの。
私は幸せ者だ。
キーンコーンカーンコーン……
一時間目のチャイムだろうか。
また、授業をサボったのか。
私は不良だから良いけど、真面目で秀才な兄さんに迷惑をかけてしまう……。
チラリと兄さんを見ると、目が合った。
ずっと見ていたのだろうか。
「もう、大丈夫ですよ。授業に戻ってください」
「単位を落とすからって?問題ないよ。ナントカなるから」
「でもっ、私のせいで兄さんの進路を潰してしまうのは嫌です……」
兄さんは私の何百倍も頭が良い。
私のせいで単位を落として、大学に行けなかったりしたら私は兄さんに嫌われてしまう。
嫌だ、嫌われたくない。
「心配ありがとう。でも、どうせ僕は大学行かないし」
「えっ?中学生の時は行きたいって……」
「雪は行かないんでしょ?」
「まあ、はい。学力が足りないので……」
兄さんみたいに頭が良かったら、行っていた。
大学なんかで兄さんとの距離を作られるのは嫌。
片時も離れずに側にいて。
じゃないと、私……。
「雪が行かないなら僕も行かない。わざわざ雪と会えない時間を作るなんて自殺行為だ」
「私も、同じ事を考えてました。本当は授業も全部兄さんと受けたいんです」
それなのに、兄さんは特進クラスだから。
「じゃあ、雪に勉強を頑張ってもらわないとね」
「ええっ。いくらなんでも無茶です。この学校に入るのも苦労したのに」
「あはは、冗談」
笑う兄さんは明るくて優しくて、暗いところはない。
だから、ぽつりと溢した言葉は気のせいなんだ。
ーーそんな時間もないしね。
目を開けると、運命の王子様もとい兄さんがいた。
「……ん?」
「発作を起こして、倒れたんだ。少し安静にしてれば治るよ」
兄さんは私の頭を撫でてくる。
そうか。段々状況が読めてきた。
いつもの発作が出て、倒れた所を兄さんが保健室に運んでくれた。
「ありがとうございます」
「うん」
兄さんはとても優しい。
蜂蜜みたいに甘ーい笑顔で私を見てくれるんだもの。
私は幸せ者だ。
キーンコーンカーンコーン……
一時間目のチャイムだろうか。
また、授業をサボったのか。
私は不良だから良いけど、真面目で秀才な兄さんに迷惑をかけてしまう……。
チラリと兄さんを見ると、目が合った。
ずっと見ていたのだろうか。
「もう、大丈夫ですよ。授業に戻ってください」
「単位を落とすからって?問題ないよ。ナントカなるから」
「でもっ、私のせいで兄さんの進路を潰してしまうのは嫌です……」
兄さんは私の何百倍も頭が良い。
私のせいで単位を落として、大学に行けなかったりしたら私は兄さんに嫌われてしまう。
嫌だ、嫌われたくない。
「心配ありがとう。でも、どうせ僕は大学行かないし」
「えっ?中学生の時は行きたいって……」
「雪は行かないんでしょ?」
「まあ、はい。学力が足りないので……」
兄さんみたいに頭が良かったら、行っていた。
大学なんかで兄さんとの距離を作られるのは嫌。
片時も離れずに側にいて。
じゃないと、私……。
「雪が行かないなら僕も行かない。わざわざ雪と会えない時間を作るなんて自殺行為だ」
「私も、同じ事を考えてました。本当は授業も全部兄さんと受けたいんです」
それなのに、兄さんは特進クラスだから。
「じゃあ、雪に勉強を頑張ってもらわないとね」
「ええっ。いくらなんでも無茶です。この学校に入るのも苦労したのに」
「あはは、冗談」
笑う兄さんは明るくて優しくて、暗いところはない。
だから、ぽつりと溢した言葉は気のせいなんだ。
ーーそんな時間もないしね。