僕は介護職になりました。
 送迎が終わり、フロアー内に本日利用予定のご利用者様32名が揃いました。これから入浴や体操が始まるスケジュールになっています。先輩スタッフが皆様から一番見える位置に立ち、マイクを持ち挨拶を始めました。

 「皆様おはようございます!今日は11月1日月曜日です。今日もいい天気ですね!今日は朝の会と体操を始める前に新しいスタッフの紹介をさせて頂きます!」


 僕が呼ばれました。事前に知らされおりましたが、先ほどの失敗もあり、緊張はMAXでした。しかし更に皆様の前に立つと、震えがくるほど緊張しました。

 ご利用者様32名スタッフ10名が一斉に僕を注目するのです。本当に手が震えていました。おどおどした状態で話しを始めました。

 
 「皆様おはようございます。初めまして(僕)と言います。僕は介護の仕事につくのが初めてです。」との所でご利用者様から「聞こえないよー」という声がとびました。

 横にいた先輩スタッフももっと大きな声でと指示をされましたが、そこで思考がストップ。一言「宜しくお願い致します」と何とか絞りだし、ペコペコしながら下がりました。

 そこから先輩スタッフが皆様を巻き込んでお話をし、どっかんどっかん笑いをとっている姿を見てただただ凄いなぁと思っていました。

 この朝の自己紹介が1週間続きます。既にそれが憂鬱でした。しかし、事ある毎にフロアー中央でマイクを持って話す事が多く、昼食を配り始めるとき、レクリエーションを行うとき、おやつを配るとき、皆様が帰宅されるとき。全てに新人職員は中央に立ち、挨拶をします。ですので慣れるのも早かったです。

 1ヶ月後には体操や誕生日会の司会等をしていました。ですが、初日はそんな風に緊張しなくなる等、夢にも思いませんでした。
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