オフィスにラブは落ちてねぇ!!
「俺にとっては大きな出来事だったんだよ。高校までずっと男子校だったし、大学時代は人見知りで、女の子と話すのも苦手だったから。会社に入ってもなかなか慣れなくて。」

「意外…。モテそうなのに…。」

「背が高いだけで、性格も見た目も地味だし、人見知りで口数も少ないからモテなかった。」

「その頃の写真、見てみたいかも…。」

「イヤだよ、恥ずかしい…。」

緒川支部長は恥ずかしそうに目をそらした。

「ふふ…恥ずかしいんだ。じゃあ…2度目に会ったのは?」

「2度目は…5年くらい前。会社の先輩と会社帰りにファミレス寄って食事して、テーブルの上に携帯置き忘れて、そのまま店を出たら、かわいい女の子が追いかけてきて“忘れ物ですよ”って。」

「なんとなく覚えてるような…。」

「店員でもないのに、ただ近くのテーブルにいたから気付いたんだって、慌てて持ってきてくれて…。あの時の子だ!!って思ったんだけど、ありがとうって言うのが精一杯だった。」

「内気…。」

「だから支社の人事部で愛美に会った時は、運命かもって思うくらい嬉しかったんだよ。結局見てるだけで声も掛けられなかったんだけど…。」

「でも私、支社にいた頃の政弘さんを覚えてませんよ。なんでだろう?」

「部署もフロアも業務内容も違うし…さっきも言ったけど、地味で目立たなかったから。」

「そんなに…?」

(やっぱり見てみたいかも…。)

「たまたま社食で隣に座った事があるんだけど、その時、愛美が友達に彼氏はどんな人って聞かれてて…仕事が出来て、俺について来いって感じで、男らしくてかっこいいんだって言って…。やっぱり彼氏いるんだ、しかも俺と正反対の男が好きなんだなぁって…ものすごくショックだった。」


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