オフィスにラブは落ちてねぇ!!
「なぁ菅谷…。」
「…なんですか。」
「連絡先、教えて。」
「は?」
「営業職員の携帯番号は仕事上必要だから登録してあるけど…菅谷の携帯の番号とかメアドとか、知らないから。」
「出先から用があるなら、支部に電話すればいいじゃないですか。」
「仕事中の用ならそうするけど…菅谷の連絡先知らないと、仕事の後とか連絡したくてもできない。」
「……。」
(ああそうか…。付き合うって事になってたんだった。)
付き合うなら携帯の番号くらい教えるのは当たり前かと思いながらも、どうせすぐ別れるのにと思うと素直に教える気にはなれなくて、愛美はどうしたものかと黙り込んだ。
「…付き合うって言っても…俺には連絡先教えるのもイヤ?」
緒川支部長は少し寂しげに苦笑いを浮かべた。
「えっと…あの…。」
「…そんなにイヤならいい。用もないのに俺から電話なんかしたって、菅谷にとっては迷惑だもんな。これ以上菅谷に嫌われたくない。用がある時は会社にいる間に言うから。」
そう言って緒川支部長は足早に営業所に向かって歩き出した。
緒川支部長の背中を見ながら歩いていた愛美の胸が、ほんの少し痛んだ。
(こんな事なら、付き合うなんて言わない方が良かった…?)
支部に戻り書類の入力などが済んで手の空いた愛美は、職員が出払ったオフィスで一人、何をするでもなく内勤用のパソコン画面をぼんやりと眺めていた。
さっきの緒川支部長の言葉が、何度も繰り返し頭の中をぐるぐると駆け巡る。
“これ以上菅谷に嫌われたくない。”
確かに仕事中の緒川支部長の事は嫌いだ。
でも、夕べの緒川支部長とさっきの緒川支部長の寂しげな苦笑いが重なり、脳裏に焼き付いて離れない。
(なんでそんなに私の事を好きだなんて言うんだろう…。私はこんなに嫌いなのに…。それもわかってるくせに…なんで?)
「…なんですか。」
「連絡先、教えて。」
「は?」
「営業職員の携帯番号は仕事上必要だから登録してあるけど…菅谷の携帯の番号とかメアドとか、知らないから。」
「出先から用があるなら、支部に電話すればいいじゃないですか。」
「仕事中の用ならそうするけど…菅谷の連絡先知らないと、仕事の後とか連絡したくてもできない。」
「……。」
(ああそうか…。付き合うって事になってたんだった。)
付き合うなら携帯の番号くらい教えるのは当たり前かと思いながらも、どうせすぐ別れるのにと思うと素直に教える気にはなれなくて、愛美はどうしたものかと黙り込んだ。
「…付き合うって言っても…俺には連絡先教えるのもイヤ?」
緒川支部長は少し寂しげに苦笑いを浮かべた。
「えっと…あの…。」
「…そんなにイヤならいい。用もないのに俺から電話なんかしたって、菅谷にとっては迷惑だもんな。これ以上菅谷に嫌われたくない。用がある時は会社にいる間に言うから。」
そう言って緒川支部長は足早に営業所に向かって歩き出した。
緒川支部長の背中を見ながら歩いていた愛美の胸が、ほんの少し痛んだ。
(こんな事なら、付き合うなんて言わない方が良かった…?)
支部に戻り書類の入力などが済んで手の空いた愛美は、職員が出払ったオフィスで一人、何をするでもなく内勤用のパソコン画面をぼんやりと眺めていた。
さっきの緒川支部長の言葉が、何度も繰り返し頭の中をぐるぐると駆け巡る。
“これ以上菅谷に嫌われたくない。”
確かに仕事中の緒川支部長の事は嫌いだ。
でも、夕べの緒川支部長とさっきの緒川支部長の寂しげな苦笑いが重なり、脳裏に焼き付いて離れない。
(なんでそんなに私の事を好きだなんて言うんだろう…。私はこんなに嫌いなのに…。それもわかってるくせに…なんで?)