オフィスにラブは落ちてねぇ!!
「あと…菅谷。」

「ハイ。」

「今日の夜、できるだけ早く仕事終わらせるから、先輩の店で待ってて。」

「わかりました。…って…え?!」

「何か予定ある?それとも迷惑?」

「いえ…そういうわけでは…。」

「じゃあ約束な。菅谷…。」

「ハイ?」

「…好きだよ。」

緒川支部長は突然あの甘い声でそう言って、電話を切った。

愛美の耳に緒川支部長の甘い声の余韻が残る。

(な、な、なんだ今の…!!)

慌てて受話器を置き、愛美は熱くなった頬を両手で覆った。

心臓がうるさいくらいにドキドキと音を立てる。

(急にこんなの心臓に悪い…!!支部長のくせに!!仕事中の私用電話禁止!!)




しばらく経って、支部に戻った高瀬FPが机の上の電話連絡票に目を留めた。

「あれ?支部長から、僕に電話あったんですか?」

高瀬FPが愛美のそばに来て尋ねた。

「ハイ。」

「わざわざ支部の電話に?」

「え?」

愛美は高瀬FPの言葉に首をかしげた。

「用があるなら、僕の携帯に直接電話すればいいのに…。」

高瀬FPはニヤリと笑って、愛美を見た。

「割と、あからさまですよね。支部長って。」

「えっ…?それって…。」

愛美の小さな問い掛けには答えず、高瀬FPは笑いを堪えながら自分の席に戻って、ポケットから取り出した携帯電話で支部長に電話を掛けた。

(確かに高瀬FPの言う通りだ。支部の職員に用があるなら、その人の携帯に直接電話すれば済むのに…って事は…!)

愛美は支部長が出先から支部に電話してきた目的がやっとわかり、思わず拳を握りしめた。

(仕事中に何考えてんだ、あの男は…!!それにドキドキする私もどうかしてるだろ…!!)



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