オフィスにラブは落ちてねぇ!!
昨日、夕方に訪問したお得意様の社長宅で、従業員の団体定期保険と社長の奥さんの医療保険の説明をして契約の手続きが済んだ後、しばらく社長の趣味の釣りの話を聞いていた。

30分ほど経った頃、そろそろ釣りの話も終わるかなと思ったら、今度は孫の自慢話が始まった。

夏休みに北海道旅行に連れて行ったとか、敬老の日に似顔絵を描いてくれたとか、お正月には高級温泉旅館に泊まって一緒に蟹を食べたとか、とにかく目に入れても痛くないほどの溺愛ぶりだった。

そんなかわいい孫のために、貯蓄型の保険をもうひとつ増やしちゃおうかな、などという話になり、パソコンでいくつかの貯蓄型の保険を試算して、設計書を見せながら説明をした。

どれも甲乙つけがたいね、などと散々迷った末、かわいい孫のためだから一番貯蓄性の高いやつにするよという事になった。

時間も遅いので日を改めましょうかと言ったのだが社長は契約に大乗り気で、善は急げと言うだろう、今すぐ頼むよと、更にそこからその契約の手続きが始まった。

何せかわいい孫のための契約だから、孫の自慢話にも余念がない。

被保険者である孫本人の健康状態を知るための告知書も必要なので、社長から孫の母親である娘に電話をしてもらい、途中で電話を代わって、社長が契約者となって孫のために貯蓄型の保険を契約したいと言っていると説明した。

翌日に告知書を娘宅に届ける約束を取り付けようとすると、社長が今すぐ届けて記入させてくれと言い出した。

仕方なく30分ほど車を走らせ、娘宅に告知書を届けてその場で記入してもらい、1時間かけて支部に戻った。

時間も遅い事から会社のネットワークがオフラインになっており、支社にデータを送る事はできないので、翌朝一番に支社にデータが送れるように怒濤のスピードで入力を済ませた。

大急ぎで支部を出る頃には9時を回っていたので、家には戻らず車で直接マスターのバーに向かった。




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