オフィスにラブは落ちてねぇ!!
「支部長のも送って下さい。」

予想外の愛美の言葉に、緒川支部長は更に嬉しそうにしている。

「じゃあ…送るよ。」

「ハイ。」

お互いのプロフィールを交換し終わると、愛美は急に照れ臭くなって、スマホを無造作にバッグに押し込んだ。

(なんだこれ…。何、この気恥ずかしさは…。)

バッグの中でスマホのメール受信音が鳴り、愛美はメール受信画面を開いて真っ赤になった。


“好きだよ。”


メールの送り主の緒川支部長が、目の前で幸せそうに笑っている。

(もう…なんなのこれ?!なんの羞恥プレイ?!)

真っ赤になってスマホをバッグに押し込む愛美の顔を、緒川支部長は楽しそうに覗き込んだ。

「初メール、送ってみた。」

「そういうのはいいです…。」

「顔、赤いよ?」

「気のせいです!!」

愛美が抱えた膝の上に顔を突っ伏して隠すと、緒川支部長はベッドの縁に腰掛けて愛美の頭を撫でた。

「すごくかわいいので、抱きしめてもいいですか。」

「えぇっ…?!」

返事をする間もなく、緒川支部長の長い腕が愛美をそっと抱きしめた。

「えっ…あ…あの…支部長…?」

「支部長じゃなくて…名前で呼んで欲しいんだけどな…。」

「いや…あの、でも…。」

(いきなりハードル高過ぎるし!)

「俺も愛美って呼んでいい…?」

耳元で囁くように優しく話す甘い声に、愛美の鼓動が速くなり、またどうにかなりそうになる。

「愛美…好きだよ。」

耳に触れそうなほど唇を寄せて囁かれ、愛美は全身の力が抜けそうになった。

(だから…それ、ズルイ…!!)


愛美はOFFの時の緒川支部長の甘さに戸惑い、すっかりそのペースに飲まれている自分にまた戸惑う。

今目の前にいる人が、大嫌いな緒川支部長と同一人物とは、とても思えない。

この腕の中で感じる温もりが、やけに心地よく感じる。

(何これ…どうしよう…。)

愛美はまた真っ赤になってうつむいた。




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