オフィスにラブは落ちてねぇ!!
「政弘って…呼んでくれないの?」

「む…無理…。」

「なんで?」

「いきなりハードル高過ぎです!4文字だし!まだ慣れてないし!とにかく無理です!!」

「ふーん…。4文字、ダメかぁ…。でも今更変えられないしなぁ…。」

緒川支部長はシュンと肩を落としてため息をついた。

(今度は耳垂れたよ…。尻尾、うなだれてるよ…。面白い…。)

愛美は笑いを堪えながら少し顔を上げた。

「ところで…つかぬ事をお聞きしますが…なんで私はここに寝ていたんでしょうか…。」

「覚えてないの?」

「まったく。」

「そっか、相当酔ってたもんな…。車の中で寝ちゃって家もわからなくて…。仕方ないから俺んちに連れてきて寝かせた。」

「そうなんですか?!まさか…私が酔って寝てる間に変なとこ触ったりしてないですよね?」

「してないよ!!…あ、でも…。」

「でも…?」

愛美がおそるおそる尋ねると、緒川支部長は少し照れ臭そうに小声で呟く。

「キスはした…。」

「えぇっ?!」

「おでこに。」

「なんだ…おでこか…。」

愛美がホッとして息をつくと、緒川支部長はいたずらっぽい目で愛美の顔を覗き込んだ。

「酔って寝てる愛美にそんな事するのもどうかと思ったんだけど…もっと違うとこにしても良かったの?」

「えぇっ?!」

「俺はしたいんだけど…。」

緒川支部長は愛美の顔に口元を寄せた。

「キス、してもいい?」

「いや、あの…。」

愛美が返事をする間もなく、緒川支部長の唇が愛美の唇に重なった。

優しく触れるだけのキスなのに、頭の中が真っ白になり、全身の力が抜ける。

(何これ…。気持ちいいかも…。)

緒川支部長はゆっくりと唇を離して、愛美をギュッと抱きしめた。

「愛美かわいい…。」

緒川支部長の腕の中で、愛美は何も考えられなくなって目を閉じた。

(…甘過ぎ…。)





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