オフィスにラブは落ちてねぇ!!
“生理的に受け付けない”と緒川支部長に言い放った事を思い出し、愛美はばつの悪そうな顔で目をそらした。
(またそういう事…。)
「犬は好きです。」
「ホント?」
愛美の言葉を聞いて、緒川支部長が嬉しそうな顔をした。
(ホント犬みたい…。また耳立てて尻尾振ってるのが見えたよ…。)
「……犬の話ですよ。昔、実家で大型犬飼ってたんです。毛の色が栗色だったからマロンって名前で。」
「マロン?」
「マロン。」
「俺は?」
「…支部長。」
「いや…政弘だから、マロンとちょっと似てるかなぁって。」
「“マ”と“ロ”だけですけど…。」
「政弘が4文字で呼びにくいなら、マロンでもいい。」
確かに大型犬のマロンと長身の緒川支部長はどことなく似ているかも、とは思うものの、さすがに昔飼っていた犬の名前で呼ぶのは抵抗がある。
「…それはちょっとイヤです。」
「ダメかぁ…。仕事中は仕方ないとしても…ホントは愛美に支部長って呼ばれるのイヤなんだけどな…。」
「なんでです?」
「大嫌いって言われてる気がする。」
「なんですかそれ…。」
(私が“お手”とか“待て”って言ったらホントにしそうだな、この人…。)
「だったら緒川さんとか…。」
「5文字だけど?」
「…確かにそうですけど…。名前よりは抵抗ないかなって。」
緒川支部長は首を左右に傾けながら考えるそぶりを見せた。
「やっぱり苗字はダメ。」
「なんでダメなんですか?」
「なんでも。」
今度は愛美が首をかしげた。
(マロンはOKなのに、緒川さんはダメ?政弘って名前に、なんかこだわりでもあんのかな…?)
(またそういう事…。)
「犬は好きです。」
「ホント?」
愛美の言葉を聞いて、緒川支部長が嬉しそうな顔をした。
(ホント犬みたい…。また耳立てて尻尾振ってるのが見えたよ…。)
「……犬の話ですよ。昔、実家で大型犬飼ってたんです。毛の色が栗色だったからマロンって名前で。」
「マロン?」
「マロン。」
「俺は?」
「…支部長。」
「いや…政弘だから、マロンとちょっと似てるかなぁって。」
「“マ”と“ロ”だけですけど…。」
「政弘が4文字で呼びにくいなら、マロンでもいい。」
確かに大型犬のマロンと長身の緒川支部長はどことなく似ているかも、とは思うものの、さすがに昔飼っていた犬の名前で呼ぶのは抵抗がある。
「…それはちょっとイヤです。」
「ダメかぁ…。仕事中は仕方ないとしても…ホントは愛美に支部長って呼ばれるのイヤなんだけどな…。」
「なんでです?」
「大嫌いって言われてる気がする。」
「なんですかそれ…。」
(私が“お手”とか“待て”って言ったらホントにしそうだな、この人…。)
「だったら緒川さんとか…。」
「5文字だけど?」
「…確かにそうですけど…。名前よりは抵抗ないかなって。」
緒川支部長は首を左右に傾けながら考えるそぶりを見せた。
「やっぱり苗字はダメ。」
「なんでダメなんですか?」
「なんでも。」
今度は愛美が首をかしげた。
(マロンはOKなのに、緒川さんはダメ?政弘って名前に、なんかこだわりでもあんのかな…?)