オフィスにラブは落ちてねぇ!!
愛美は高熱のせいで夢と現実の境目さえわからなくなり、朦朧としながら、ぼやけた視界に映る緒川支部長を見上げた。

「何が欲しいの…?」

「え?」

「お金…?体…?」

「何言って…。」

思ってもいなかった愛美の言葉に驚く緒川支部長の言葉を遮り、愛美は自嘲気味に力なく笑いながら涙を流して声を絞り出す。

「お金はないけど…。体が目当てなら…好きにすれば…?それでもう…終わりにして…。」

緒川支部長は悲しそうな目で愛美を見つめた。

そして優しく頭を撫で、頬を濡らす涙を指先でそっと拭った。

「愛美の気持ちもないのに…そんなの望んでない…。」

緒川支部長は小さく呟いて愛美の熱い手を握り、自分の頬に当てた。

「俺はね…愛美に笑って欲しい…。俺の隣で、幸せそうに笑ってて欲しいだけなんだ…。」

甘くて優しい緒川支部長の声を聞きながら、愛美は涙を流しながらゆっくりと目を閉じた。

「どうせまた…幸せになんて、なれない…。もう…かまわないで…。」

緒川支部長は、涙を流しながらうわ言のように呟く愛美の熱い手に、唇を押し当てた。

「なんでそんな悲しい事言うんだよ…。俺は…愛美を幸せにしたいのに…。」

切なげな緒川支部長の呟きに、愛美から返ってくるのは、短く苦しそうな息づかいだけだった。

「こんなに好きなのに…俺じゃダメなの…?」





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