オフィスにラブは落ちてねぇ!!
少しだけ
2日後の朝。

やっと熱が下がり出社した愛美は、どんな顔をして緒川支部長と顔を合わせればいいのだろうと考えながら支部に向かった。

散々ひどい事を言ったのに、緒川支部長は愛美の看病をしてくれた。

何を言ったのかは覚えていないが、緒川支部長の悲しそうな顔が頭から離れない。

(お礼だけは…言った方がいいのかな…。)

緊張しながら支部に入ったが、いつもは誰よりも早く出社している緒川支部長の姿は見当たらなかった。

愛美の姿に気付いた高瀬FPがにこやかに声を掛けた。

「菅谷さん、おはようございます。もう体は大丈夫ですか?」

「ハイ、なんとか…。3日も休んじゃってすみません。」

「大丈夫ですよ。菅谷さんが休みの間は、支部長が代わりに全部仕事を引き受けてましたから。」

「…そうですか…。」

内勤席に着くと、愛美が休んでいた間の業務の内容が書かれた紙がデスクの上に置かれていた。

(支部長…マメだな…。)

昨日も一昨日も、スマホの電源は入れていたけれど、緒川支部長からの連絡はなかった。

あれだけ緒川支部長からの連絡を無視し続けたにもかかわらず、なんの連絡もないと少し気になった。

(別れるって言ったから…?)



お昼前。

契約者宅に直行していた緒川支部長が支部に出社した。

職員が出払って支部に一人きりだった事もあり、愛美は緒川支部長と目が合うと少し気まずそうに目をそらした。

「もう大丈夫か?」

「ハイ…。」

愛美が小さく返事をすると、緒川支部長は黙って支部長席に向かう。

いつも通りの仕事中の緒川支部長に、愛美は少しムッとした。

緒川支部長は何食わぬ顔でパソコンに向かっている。

(やっぱ支部長は支部長だよね…。)



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