オフィスにラブは落ちてねぇ!!
それから数日。

緒川支部長とは仕事中に必要最小限の会話しかせず、仕事が終わっても、メールも電話もない日が続いた。

(まぁ…あれだけ嫌いだとか別れるとか言ったんだから、当たり前か…。)



お昼時。

愛美は休憩スペースで、世話焼きで有名な営業職員の金井さんと昼食をとっていた。

すると、金井さんが箸を運ぶ手を止めて、突然愛美の方を見てニコニコ笑った。

(金井さんのこの笑顔…イヤな予感…。)

「菅谷さん、いくつだっけ?」

「26です。」

「そろそろ結婚考えてる人はいるの?」

「いえ…今のところは…。」

イヤな予感が更に増す。

「私ね、お見合いのお世話とかやってるんだけど…菅谷さんもどう?」

「いや…お見合いはちょっと…。」

(やっぱりそう来たか…!)

愛美は眉をピクピクさせながら必死で作り笑いを浮かべた。

「あら、そう?お見合いも捨てたもんじゃないわよー。好きなタイプとかあるの?」

「好きなタイプですか?優しくて真面目で思いやりのある…性格の穏やかな人がいいです。」

「それだけ?」

愛美は少し考えて付け加えた。

「いつ帰ってくるかわからないとか、約束をドタキャンされるのはイヤだから…いつも決まった時間に…できれば早めに帰って来られて、休みの日はちゃんと休める人がいいですね…。」

「でもそれだと出世できないんじゃないの?」

「そうかも知れないけど…それでもいいです。ちゃんと一緒にいてくれる人がいいので。」

「やっぱり若いわねー。好きな人と長い時間一緒にいたいなんて。私たちくらいになったら、ずっと一緒なんて息が詰まるものねぇ。元気ならそれでいいわ。」

「そんなものですか…?」


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