オフィスにラブは落ちてねぇ!!
それから、シチューとパンを一緒に食べた。

緒川支部長は“すごく美味しい”と言って、シチューをおかわりした。

食後に緒川支部長からもらった柿を剥いて一緒に食べた。

とても甘くて美味しかった。

食べ終わると、食器をシンクに下げて、コーヒーを淹れた。

ビールにしようかとも思ったけれど、緒川支部長が車で来ているからお酒は飲めないと言ったからだ。

車だからお酒は飲まないという事は、泊まるつもりで来たわけじゃないんだな、などと思いながら、愛美はコーヒーを緒川支部長の前に置いた。

「愛美の作ったシチュー、美味しかった。料理は得意?」

「得意と言うほどでもないですけどね。それなりには作ります。」

「また食べたいな、愛美の手料理。」

「いいですよ。何が好きですか?」

「愛美の作ったシチュー。愛美の手料理いろいろ食べたい。」

緒川支部長のストレートな言葉が照れ臭くて、愛美は慌ててコーヒーカップに口をつけた。

「…嫌いな物はありますか?」

「なんだろう…。レバー?」

「じゃあ、次はレバニラ炒めにしましょう。」

「えぇっ…?!」

緒川支部長は少し肩を落としてコーヒーを飲む。

「…愛美の作った物なら残さず食べます。」

愛美は思わず吹き出した。

「冗談ですから…。」

(ホントにかわいい!!)

あまりのかわいさに抱きしめて撫でまわしたくなる。

「愛美の嫌いな物は何?」

「緒川支部長。」

「えぇっ…。」

愛美に即答されて、緒川支部長はガックリと肩を落とした。

「わかってるけど…面と向かって言われるとやっぱりショックだな…。できれば別の物でお願いします。」

愛美は少し意地悪だったかなと思いながら笑いを堪えた。

「別の物ですか。果物とか野菜なんかの甘いのは好きなんですけど、基本的にお菓子とか飲み物の甘いのはあまり好きじゃないです。それからレーズン。」


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