もう愛情を求めない
もう出てしまった言葉を、戻すことはできない。


打ち震え続ける体は、悲鳴を上げている。



「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」


殴り疲れたのか、座り込んだ彼は規則正しく、呼吸を整えている。



私は顔面を肘で覆って、痛みに耐えている。


そしてまだ聞こえてくる、山中さんが殴られている音。


私は男に殴られている間、彼がやり返さない理由がわかった。



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