sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
■黒髪の王子様
「梢〜〜!いつまで寝てるつもりよっ!」
甲高い紗栄子の声が頭上から聞こえ、背中を容赦なく叩かれる。
……ん、もうちょっと……
「今日は面接だったんじゃないの!?」
……ん、面接…めんせ、つ?
「うわぁ!?い、今何時!?」
ガバッと布団から起き上がると、紗栄子はやれやれとスマホの画面を見せてきた。
「まだ8時過ぎだけど……そろそろ用意しなさいよね」
ほら、朝ごはん出来てるから…と、紗栄子はコーヒーを淹れてくれる。
例の一件から約二週間が経ち夏休みに突入。
私は未だに紗栄子宅にお世話になっているのだ。
「本当、何から何までありがとね…紗栄子」
「な、何よ急に改まって…私はただ、傷心の友達を野放しにするなんて出来ないからよ」
紗栄子は、とりあえず飲みな、とコーヒーが入ったマグカップを私に手渡した。