sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「残りはオレがやっとくからさ。司は梢ちゃんと帰りな。自分じゃ気づいてないだろうけど、凄く顔色悪いから。」
古賀さん…気づいてたんだ。
「……だから何だ。仕事はちゃんとこなす。お前には迷惑なんぞかけん。」
そう、私の腕を掴んでエレベーターに入ろうとするが、古賀さんは一ノ瀬司の肩を掴んだ。
「オレにじゃない。梢ちゃんに迷惑がかかるって言ってんだ!一緒に住んでる以上、彼女に迷惑はかけるな。」
古賀さんのこんな険しい表情、初めて見た。
いつもヘラヘラしてる感じなのに……
本当に心配してるんだ。
一ノ瀬司は根負けしたように大人しくなり、古賀さんの言い付けを守りそのままマンションに帰ることになった。
車内は至って静か。
古賀さんが車で送ってくれると言ったが、自分で運転すると言って聞かなかった。
すっかり夕暮れ時でもうすぐ陽が落ちそうだ。
その横顔は今朝と何ら変わらないけど、少し辛そうに見える。
「……体調悪くなること、多いんですか?」
思い切って聞いてみると、一ノ瀬司は前を見つめたまま口を開いた。
「そんなヤワじゃない。多少調子が悪くても仕事ぐらい出来る。一ノ瀬の御曹司がすぐ休むようなら成り立たんだろ。古賀にバレたら厄介だがな。」
もしかしたら、今まで体調が悪くても我慢して仕事をしていたんだろうか。