sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
■実家に挨拶です。
「あの……折り入って話が……」
私が朝食を作るようになって数日、一ノ瀬司は何も言わず朝ごはんを食べてくれるようになった。
ここ数日、和食、洋食と作ったが、一般的なご飯に味噌汁、焼き魚、というメニューが好きらしい。
ダイニングテーブルの向かいには朝食を完食した一ノ瀬司が新聞を広げ、コーヒーを飲んでいる。
「……折り入ってとは、何だ。」
相変わらず新聞に目を向けたままだけど、私の話を聞いてくれるみたい。
「借金返済のことなんですけど…いきなり全部返済したことに両親が不審がっていて…」
一ノ瀬司は聞いているのか、はたまた聞いていないのか。
表情がないのでわかりにくい。
ええい、まどろっこしい!
私は腹を括って口を開いた。
「わ、私と一緒に、実家へ……帰ってくれませんか?」
…………言った、言ったよ私。
新聞から視線を私に移し、一瞥した一ノ瀬司は何事もなかったかのように新聞を閉じる。
や、やっぱり………
「お、お忙しい、ですもんね。ごめんなさい、変なこと言って……」
記念パーティーに、海外のプロジェクト……
今の彼に休みなんてないのに……私ってば何てことを……