sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
夕方にきちんと帰ってきた一ノ瀬司は私を車に乗せ鎌倉に向かう。
仕事で疲れてるだろうに……申し訳ない。
せめて、私が免許持ってたらな……
なんて考えていたとき、一ノ瀬司は前を見つめたまま口を開く。
「電話で、ご両親は何と言っていた。」
「あ、は、はい、私が全額返済したことに不審がってたので母が一度帰ってきなさいと。それで…ずっと付き合っている彼氏に返済してもらったと…言ってしまいました。そしたら連れて来いって…」
いきなり話しかけられ、私は口吃る。
「ずっと付き合っている彼氏とは、この前まで同棲していた男のことか。そいつの代わりを俺がしろと?」
うっ……さすが、鋭い。
「ご、ごめんなさい。さすがにいきなり出会った人に返済してもらったなんて言えなかったんです……」
私が全額返済したなんて見え透いた嘘も吐けないし。
陽介の代わりをしてもらうことが一番最善だと、私なりに考えた。
それでも、あの堅いお父さんが納得するとは到底思えないけど。
夏休みが終わり、9月になったからだろうか。
夕方の高速道路は案外空いていて、1時間弱で鎌倉に着いた。